【保存版】建材で見る建築の歴史~ベトナムセメントタイル編~
2024年11月21日 09:32
ベトナムセメントタイルの歴史
ベトナムセメントタイルをご存じですか?
スペインでは、サグラダファミリア大聖堂で有名な建築家のアントニオ・ガウディが約110年前に多く使っていたと言われています。
上の写真はガウディの代表的な作品でバルセロナの「カサ・バトリョ」です。
セメントタイルは1850年代にフランスで生まれました。(※後に1858年~1954年のフランスベトナム植民地時代にその技術は海を渡りベトナムやインドネシアで作られるようになりました)当時欧州ではアールヌーヴォー様式※1の中で多く使われていました。
時代と共にアールヌーヴォー様式に代わり、ドイツで生まれた「バウハウス様式」※2が流行する中でやがてベトナムセメントタイルは姿を消していくことになります。しかしやがてミッドセンチュリーモダンスタイル※3によりベトナムセメントタイルは復活します。
(参考)
※1 アールヌーヴォー様式
1800年代末から1900年代初め、花や植物などの有機的なモチーフや自由曲線の組み合わせによるデザインが主流。産業革命により大量生産による粗悪品の反動から生まれた「新しい芸術」という国際的な美術運動。
※2 バウハウス様式
1919年~1933年、ドイツのワイマールで始まった合理主義・機能主義的な考えと表現主義的な考え。シンプルで幾何学的でムダを削ぎ落したスタイル。
※ 3ミッドセンチュリーモダンスタイル
1940年~1960年代、アメリカで流行ったデザインやインテリア様式。華美な装飾を排し機能性を重視したシンプルで実用的なデザイン。幾何学的デザインも多く、ポップな色彩による表現。また人工素材(プラスティック・ビニール)や天然素材(木材・金属・ガラス・大理石)などを組み合わせた近未来的デザイン様式。
正式名称は「エンカウスティックタイル」
エンカウスティック(Encaustic)とはエジプトや古代ギリシャで用いられていた絵画技法で、「美術史上最古の絵画技法」とも呼ばれています。
エジプトミイラの棺の蓋にその肖像画が描かれた技法でもあり、蜜蝋を熱で溶かし、表面に焼き付けていく画法。日本では「蝋画」と呼ばれていたこの技法は耐光性、耐水性、耐酸性などをもつ優れたものとされています。
クラシカル~ミッドセンチュリーモダンへ
「持続可能なデザインとの融合」
ベトナムセメントタイルは1850年代の伝統的デザインははもちろん、1940年代から1960年代に流行したミッドセンチュリーモダンスタイルにおいて重要な役割を果たしています。
ミッドセンチュリーモダンスタイルの特徴である幾何学模様や大胆な色使い、焼かずに作られるベトナムセメントタイルは、環境への配慮から持続可能なデザインを追求した当時のトレンドに合致しました。
ミッドセンチュリーモダンスタイルで好まれる視覚的なインパクトを与え、抽象的なデザインでもあるミッドセンチュリーモダンスタイルの表現手段として、ベトナムセメントタイル広く利用され、商業施設にも多く使われました。
現代欧州では150年以上の耐久性により、アンティーク(ヴィンテージ)商品が話題になっています。欧州やベトナムでも、教会などでは当時のセメントタイルを修復して再利用しています。
それらの耐久性・リサイクル性。そして手作りだからこその省エネ性・デザインの多様性等において環境にやさしく、持続可能な建材として世界的に見直されています。
世界の流れと環境への配慮
セメント焼灼タイルの市場規模は、2023 年に 326 億 3,000 万米ドルと評価され、2030 年までに 554 億 8,000 万米ドルに達すると予測されています。
当然の流れです。
アールヌーヴォー様式で学んだ大量生産から生まれる粗悪品の放出。スクラップアンドビルドから学ぶ環境破壊。
ベトナムセメントタイルの向く方向は、手作りによる【省エネ性】、自由に作れる無限の【デザイン性】、400年ともいわれる【耐久性】、セメントならではの【リサイクル性】、古きを見直す【精神性】、やっと世界が気が付き始めた証拠です。
欧州の多くの国では、若きデザイナーがこのベトナムセメントタイルの魅力を見直し、新たなデザインスタイルを模索しています。
これからのライフスタイルの方向性
世界的なトレンドが近年急速に変化しています。その影響は目に見えてに日常生活に反映され始めました。カスタマイズされたパーソナルな製品が求められるようになっていることや、ヴィンテージ人気の再燃、素材の良さ、シンプルな暮らし...。
今までのような買っても使わない、捨てる...。
そんなことはもうやめて、本当に上質なものをズット長く、目先にとらわれない、賢い暮らし。「○○調」や「○○風」は要らない世界で暮らしませんか?
建築業界でも、業者の都合で建て主を誘導しない。使いたいものは使っていただく。
それが「プロフェッショナル」だと思いませんか?業者以上にエンドユーザーの目は肥えています。
これからのエンドユーザーは本物を見極める目を持ち、ムダを省き、上質なものを長く丁寧に使っていくシンプルな暮らしをすると思います。
近年よくきく「ミニマリズム」を磨き上げた上位クラスなのかもしれません。
そんなエンドユーザー様に対して、ベトナムセメントタイルに見る「温故知新」的意識で私達も進化しなくてはならないと思っています。
いかがでしたか?
今日はベトナムセメントタイルでみる、建築の歴史とこれからのスタイルについて書いてみました。
弊社ではベトナムセメントタイルを2025年1月発売予定です。25種類の国内在庫を埼玉県熊谷市の倉庫に置く予定です。見積やお問合せ、ベトナムセメントタイルについてはこちらからご覧ください。
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