【セメントタイルの全て】施工例と共に
2024年12月16日 16:33
エンカウスティックタイル(セメントタイル)の歴史を遡る
現代のエンカウスティックタイル(以下セメントタイル)の歴史は1850年頃からと前回お話ししましたが、セメントタイルの歴史を遡るとヨーロッパ中世(西暦500年頃~1500年頃の事)から、特にルネッサンス期(1400年頃~1520年頃)において大いにその役割を果たしたといわれています。
セメントタイルは美術的な手法として用いられ、信者に視覚的なメッセージを伝える手段となりました。
13世紀頃セメントタイルは、特に教会や修道院で広く使用されました。これらのセメントタイルは、床や壁の装飾に用いられ、特に教会では神聖な空間を演出するために重要な要素となりました。また、貴族の邸宅では、社会的地位を示すための象徴的な装飾としても機能しました。
source:https://elaineschmidt.wordpress.com/2013/08/25/medieval-floor-tile-quilts-in-the-churches-of-dublin/
この時期のタイルは、さまざまな形状のタイルを組み合わせてモザイクのように敷き詰めるスタイルが主流でしたが、製造と施工が難しかったため、次第に現在の埋め込み型タイルへと移っていきました。このセメントタイルは、木製の型に粘土で模様を押し込み、その後異なる色の液体粘土で埋められました。
16世紀頃、この時期には、セメントタイルの人気が衰えます。特にイギリスでは、ヘンリー8世による宗教改革により、影響力の強かったセメントタイルや多くの中世の教会装飾が取り除かれました。
18世紀初め セメントタイルは再び注目を集め始めました。建築家たちは過去のデザインに目を向け、中世のタイルの復刻版を求めるようになりました。この動きはゴシック建築のリバイバル運動として知られています。
1830年代にはサミュエル・ライトという商人が中世のタイル復刻に取り組みます。その権利をチャンバーライン社とミントン社(写真下)に売却しました。ミントン社はこのプロセスを改良し、1842年にはロンドンのテンプル教会に大量に供給しました。
source:https://x-s.jp/2022/10/20221026-history-of-minton/#gsc.tab=0
1850年代にフランスで本格的に作られ始めたセメントタイルは、当時のアールヌーヴォー様式と相まって、豊かな色彩と複雑なパターンで人々を魅了しました。
更に1860年代にはプレス技術が導入され、セメントタイルの生産が機械化されました。この技術により、より多くの色粘土を使用したタイルが製造可能になりました。この機械化が現代のセメントタイルの原型となります。現代のセメントタイルは、主にセメントを使用して製造されています。具体的には、大理石の粉末や粒子、セメント、天然の色素を組み合わせ、これらの材料を正確な比率で混ぜ合わせます。その後、高圧で水圧成形され、耐久性のあるタイルが完成します。
その後1960年頃までミッドセンチュリーモダンスタイルに支えられながらセメントタイルは普及していきました。
このように、セメントタイルは中世から近代にかけて多くの変遷を経ており、その美しさと耐久性から現在でも人気があります。特にその耐久性から教会や公共施設、商業施設に広まり、今では一般家庭でも使われています。
セメントタイルの伝統的デザイン
【ミッドセンチュリーモダンスタイル】
セメントタイルは幾何学的なパターンが特徴で流行しました。これらの模様は、シンプルな形状から複雑なデザインまで多岐にわたります。特に、対称性や繰り返しが強調されることが多いです。
【フレンチスタイル】
ベトナムフレンチタイルは、フランスの古典的なデザインを基にしたもので、色使いやパターンが非常に細やかです。これらは特にインテリア装飾として人気があります。
【環境配慮型デザイン】
最近では、環境への配慮から焼成しない製造方法が注目されています。この方法では、セメントタイルはまさにそのものです。持続可能性が高いとされています。
セメントタイルの有名な建築物
サグラダ・ファミリア教会(バルセロナ、スペイン) アントニオ・ガウディが設計したこの大聖堂で、セメントタイルが多用されています。特に床タイルには、色鮮やかなパターンが施されており、訪れる人々に強い印象を与えます。このタイルは、ガウディの自然主義的なデザイン哲学を反映しており、建物全体の美しさを引き立てています。
旧岩崎邸(写真下:東京、日本) 重要文化財として知られる旧岩崎邸では、ミントン社製のセメントタイルが使用されています。このタイルは、19世紀のヴィクトリア時代のスタイルを反映しており、その豪華さと精緻な装飾が特徴です。特に床面に施されたタイルは、当時の上流階級の生活様式を象徴しています。
source:https://ameblo.jp/kimonosoudan999/entry-12861206240.html
メルボルン州議会議事堂(写真下:オーストラリア) この歴史的な建物でもセメントタイルが使用されており、その美しいデザインは観光客を魅了します。特に円形敷設には多くの時間と労力がかかり、その結果として得られた美しさは高く評価されています。
source:https://x-s.jp/2022/10/20221026-history-of-minton/#gsc.tab=0
セント・ジョージ・ホール(写真下:イギリス) 1841年から1854年にかけて建設されたこのホールでは、3万枚以上のミントン社製のセメントタイルが床を飾っています。このホールは、その豪華な装飾とともに、セメントタイルの美しさを際立たせる重要な例です。
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ベセスダ・テラス(写真下:ニューヨーク、アメリカ) セントラルパーク内にあるこのテラスでは、豪華なミントン社製セメントタイルが天井を飾り、その美しさが訪れる人々を魅了しています。
セメントタイルは、その製造過程で焼成されないため、環境への配慮がなされている点でも注目されています。この持続可能なデザインは、現代の建築やインテリアデザインにおいて重要な要素となっています。また、このタイルは手作りであるため、一つ一つがユニークであり、多様なデザインが可能です。これにより、個々のプロジェクトに合わせたカスタマイズが容易になってデザイナーの要求を満たしてます。
いかがでしたか?
今日はセメントタイルの歴史と有名な施工例ご紹介しました。
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